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自助努力は老後の確実な支えです。(1月号から3月号まで)
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将来の年金をご自身で設計してください。(4月号から6月号まで)
自助努力は、自分のためだけでなく…(7月号から9月号まで)
自助努力の意義は思っていたより大きいのです。(10月号から12月号まで)
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(2013年1月号から3月号まで掲載)
自助努力は老後の確実な支えです。

自助努力の開始を先延ばししないことが大切です。

日本の政治は再び大きく動こうとしていますが、消費税の増税を背景に“社会保障と税”がこれからどのように一体改革されるのか、まだ見えてきません。仮に日本の経済状況が変化して社会保障の財源に多少なりとも明るい兆しが見えたとしても、サブプライムローンの破綻やリーマンショックの後遺症から抜け出せないアメリカ経済、ギリシャ発の危機の火種を抱えたEU経済、微妙な状況の中国経済等が背景に横たわり、まだまだ予断を許さない情勢が続きそうです。
 日本の年金が抱える悩みには二つの大きな要素があります。一つは経済状況の低迷による財源の問題、もう一つは、国民の四人に一人はすでに高齢者となり、少子化は改善されず若い世代が減っていくことです。そしてこの二つが合わさって、若い世代は少ないのにそのうえ就労が困難→ 若い世代の収入が増えない→ 厚生年金等の保険料収入が減少するのに、増加する高齢者への年金支給は増えていく……という非常に難しい状況になっています。
 国民年金基金制度は自助努力型ですから、自分の掛金が将来年金となって支給されますので、少子高齢化の影響をストレートに受けるわけではありません。しかし経済状況の低迷は掛金(年金の原資)の運用に影響を及ぼします。先行きが不透明な状況から一刻も早く脱していくことを願うしかありません。
 それでも時は刻々と過ぎて行きます。先行きが不透明だから、もう少しゆとりができてからと、今できる自助努力を先延ばししていると、いずれそれもできなくなってしまうことがあります。今始めた自助努力が将来無駄になることはありません。将来の時点で悔やむより、今できることを始めていただきたいと願います。

今できる地道な自助努力の積み重ねがご自身の老後を守ります。

 ヨーロッパでも年金の支給開始年齢を68〜70歳程度に引き上げようとしている国が増えています。わが国では基礎年金の支給開始が65歳からになっており、いわゆる収入の空白期間が懸念されています。しかし国民年金基金では、「60歳から受給できる型」が増強されています。
 従来の確定Ⅲ型(60歳〜75歳受給)に加えてⅣ型・Ⅴ型が新設され、Ⅳ型は60歳〜70歳、Ⅴ型は60歳〜65歳に受給できるものとなっています。これらは必須加入の1口目(65歳から2万円/月〜終身受給)と組み合わせて、一定条件の下で設計します。付加できる終身型もありますし、途中で増減口もできるためその自由度が注目されています。詳細な資料を一度ご検討いただきたいと思います。
 ご承知の通り、国民年金基金に加入する時期は「若いときほど有利」で、一定の年齢に達するとなかなか思うような設計ができなくなってしまいます。そのためできるだけ早めの加入をお勧めしてきました。「今できる自助努力」を地道に積み重ねていくことが、ご自身の老後を守る確実な支えとなります。先行きが不透明であってもこの確実さが変わることはありません。
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(2013年4月号から6月号まで掲載)
将来の年金をご自身で設計してください。

自分の公的年金はいったいどのくらいだろう、という疑問……

 「年金の仕組みを聞かされても、実際にいくら受給できるのかわからない」という声を耳にします。
 年金額の厚生労働省のモデルは、夫は厚生年金(国民年金第2号被保険者)・標準報酬月額36万円・40年間加入、妻は20歳〜60歳までの40年間専業主婦(国民年金第3号被保険者)、という夫婦を標準的な世帯とし、夫婦の合計額を月額23万2千円弱、年額にして約279万円としています。この内訳は、夫は約200万円(老齢基礎年金79万円弱+厚生年金報酬比例部分約121万円)、妻は79万円弱(老齢基礎年金)となっています。 ※老齢基礎年金=国民年金
 しかし現実には、厚生年金や国民年金の加入期間は人によって異なり、厚生年金報酬比例部分の算定基礎となる標準報酬月額は給料の額によりますし、夫と妻の受給開始時期も違います。
 国民年金基金=土台部分に上乗せする年金が自分で設計でき、途中でフレキシブルな設計変更もできると言われても、土台の年金額が見当もつかないのでは、設計以前の問題が残ってしまいます。

概略でも土台部分を推定する方法を考えてみました。

 上記のモデルから年金額を推定するのはかなり難しいので、日本年金機構からの「ねんきん定期便」で受給見込額等のお知らせを受けた方以外にも、概略でもご自身の年金額を探るための手がかりがあったほうが良いだろうと思い、推定方法を考えてみました。
 ①サラリーマンの期間≒厚生年金加入期間 がある場合……加入年数×3万円…(A)
 ②20歳〜60歳までに国民年金保険料を実際に納めた期間(国民年金1号の期間)+厚生年金加入期間(2号の期間)……年数÷40×79万円…(B) ※3号の期間があれば年数に加えます。
 ③A+Bがおおよその年金額になります(Aは厚生年金報酬比例部分なので、加入期間中の給料の高低によって変わりますが、計算が難しいのでこの際省略します)。
 ただし年金を受給するには、20歳〜60歳までの40年間のうち、現行では国民年金に最低25年加入していなければなりません。厚生年金加入期間は国民年金2号被保険者になっています。また保険料を納めなかった期間でも、一定の条件の下に「合算対象期間」という、受給額に反映されないカラ期間と呼ばれるものがあって、それらを含めて25年に達していれば老齢基礎年金の受給資格を得ます。
 上の計算はあくまでもおおよその目安を探るための手がかりです。このような簡便な計算法は後の責任問題となることが懸念されるのか、ほとんど目にすることはありませんが、敢えて記した意味をご理解ください。正確な受給(予定)額をお知りになりたい場合は、年金事務所に相談されることをお勧めします。

推定できれば、いよいよその上にご自身で2階部分を設計することができます。

 国民年金基金の設計はシンプルです。必須加入である1口目の年金額は35歳までの加入なら月額2万円、組み合わせる2口目以降は各1万円。3口加入すれば4万円=年額で48万円になります。加入時年齢35歳、45歳、50歳に年金額の区切りがあり、掛金も加入時年齢で決まりますが、詳細はお配りしているパンフレットや当基金のホームページでお確かめください。また本年4月から60歳〜65歳に国民年金に任意加入されている方も基金に加入できるようになりました。詳細はお問い合わせください。
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(2013年7月号から9月号まで掲載
自助努力は、自分のためだけでなく…

「晩婚化」「晩産化」、さらに「非婚化」も進んでいるという現実

 2013年6月25日に閣議決定された「少子化社会対策白書」は……
◆「晩婚化」=2011年における初婚の平均年齢は、男性30.7歳(1980年と比較するとプラス2.9歳高年齢化)、女性が29.0歳(同じくプラス3.8歳)となっている◆「晩産化」=1人目の子どもを出産したときの女性の平均年齢が、2011年は前年よりも0.2歳上昇し、30.1歳となった(初めて30歳を超えた)。◆「未婚化」=生涯未婚の割合は、2010年には過去最高の男性20.14%、女性10.61%であるが、一生結婚するつもりはないという「非婚化」も進んでいる……
 と指摘しています。気になる非婚化は、未婚化よりも意識的なものと考えられます。結婚と、子供を産み育てることは、直結しているわけではありませんが、少子化がさらに進行したり長期化したりすることは推測でき、事態は深刻化していると見ることができます。

厚生年金では受給開始年齢の引き上げが続きます。

 今年度から、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分について、受給開始年齢を60歳から65歳へ引き上げる措置が始まりました。定額部分の65歳への引き上げは、すでに男性は完了、女性は引き上げの途上にあります。報酬比例部分も男性から段階的に引き上げられていき、2026年には老齢基礎年金と並び65歳からの受給となります。しかし開始から25年以上に及ぶこの措置が終わっていないのに、すでに受給開始年齢を67〜68歳を念頭に検討するという、次の方向が示され始めています。
 この動向が進むにつれ、若い世代の不安感と不公平感は高まっていくでしょう。経済状況と少子化の要素だけではなかなか理解しにくいので、年金の仕組みと財政危機のせいと受け取るかも知れません。
 しかしもう一つ考えてみたいのは、長寿化による年金受給期間の伸長、すなわち支出の増加についてです。かつては多分あまり想定されなかったことなのではないでしょうか。
 1950年には「1人の高齢者:10人の現役世代」だったのが、2010年には「1人:2.6人」になり、約50年後の2060年には「1人:1.2人」になる(平24版「高齢社会白書」)と言われています。さらに同白書では平均寿命は今後も引き続き伸びると推定しています。「高齢者の増加」+「受給期間の長期間化」+「少子化」は、世代間扶養を困難にし、「世代間格差」を引き起こし拡大させてしまいます。
 多分そろそろ、同世代で支え合う、世代を超えて助け合う、というような意識への転換も、考え始めなければならない時期なのかも知れません。

自助努力は、社会保障とは別のテーブルの上で進められます。

 国民年金基金制度の発足の当初は、国民年金の人にも被用者年金のような手厚い年金を、というものでしたが、その独立的性格から、現在では防衛的な自助努力の機能がクローズアップされてきました。しかしそれは以前から想像していたことです。バブル経済崩壊後の失われた20数年は、経済については今後取り戻していくことができるかも知れませんが、この間に失われた若い世代の層は、取り戻すことができません。幸い国民年金基金は少子化に影響されにくい別のテーブルの上にあるので、まず考えられるのは自分と家族のための自助努力ですが、仮に社会の状況が好ましくない方向に動いていったときでも、広い世の中で痛みをシェアし、互いに支え合うことができる力の源となるかも知れません。
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(2013年10月号から12月号まで掲載)
自助努力の意義は思っていたより大きいのです。

「出生者数」「生産人口」はさらに減少、高齢者は増え続けています。


 2013年3月末の日本の人口は、1億2639万3679人(総務省、住民基本台帳に基づく人口動態調査)。前年から26万6004人減って0.21%マイナス、4年連続の減少でした。
 ところで、その年度の出生者数と死亡者数が同じ場合は「自然の増減がない」ことになりますが、今回の「自然減」は22万6118人。過去最大の数値となりました。内訳を見ると、65歳以上は24.4%に上昇、4人に1人は高齢者です。0歳-64歳は75.6%に下降。出生者数は毎年減り続けていますから、3人に1人が高齢者という日も目前に迫ってくるようです。
 15〜64歳の人口(「生産人口」と呼ばれます)は62.47%に減少しましたが、来年には“団塊の世代”の残りが、その後数年間は“ポスト団塊の世代”が高齢者に加わっていき、 生産人口は一気に低下します。
 このコーナーでは社会保障に関連して、「経済状況は急速に好転することがあっても、少子化は短期間には解消できない」と、繰り返し訴えてきました。しかし急速に進行する少子化に対し、世の中は一向に進展していないように見えます。確かに社会保障は、現在の高齢者とその予備群には自分自身の切実な問題ですが、将来を担う若い世代にとっても重大問題です。今の若い世代が背負う課題も重たいであろうのに、やがて彼らを支えるさらに次の世代はもっと重たいものを背負うことでしょう。
 少子化の弊害はうすうすは気付かれているものの、まだまだ社会全体として現実感がないように思えます。しかし研究者やジャーナリストの中には警鐘を鳴らす人々もいます。今の人々が享受しているもの、すなわち消費生活の便利さ、交通の便利さ、日々の暮らしの快適さ、等々は、物流や販売で働く人々、交通機関やインフラの維持と運営に携わる人々、建設や製造を担う人々の存在の上に成り立っているものであって、そのような分野から若い労働力が欠けていったとき、どのような生活が待っているのか、欲しいものや安心・安全がいつでも手に入る日々は、近いうちに行き詰るのでは、と危機感を持って訴えています。
 一つの解決策として、海外の若い力に期待する(依存する)道もあり、医療や介護の分野では徐々に進みつつあるようです。残念ながら言葉、規範、習慣などの違い、何よりも資格取得などの法規制の障壁は厚く、なかなか難しそうです。しかしこの方向は、真剣に考えなければならないことかも知れません。それには、日本社会の側の一方的な思惑ではなく、海外の社会と信頼と友好で向き合い、互いに恵まれるような仕組みや意識を形成していかなければ、実現に向かうことはできないのでしょうが……。

まず、ご自身とご家族のための自助努力で自己防衛を。

 現実の問題として事態が改善に向かうまでの相当な期間、私たちは何らかの方法で凌がなければなりません。これも繰り返して述べてきたことですが、幸いにも、国民年金基金は「自助努力」という、少子化に影響されにくい別のテーブルの上にあるので、まず、ご自身とご家族のための自助努力で自己防衛に着手されることをお勧めします。それは次の世代の負担を少しでも軽減することに繋がっていくでしょう。
 国の様々な政策の実行、オリンピック招致の影響などで、経済にいろいろな動きが起こってくることが予想されます。それはプラスになること、楽になることだけではなく、増税、物価高騰等、痛みを伴うこともあります。国民年金基金においても、生命保険などと同様に死亡率の変化に伴う財政再計算が進められており、来年度には掛金が上がることが予想されています。どうか早めのご検討を始められるよう強くお勧めします。
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