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頑張ればできるときに!(1月号から3月号まで)
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万一の場合の備えにも?(4月号から6月号まで)
先延ばししないことをお勧めします。(7月号から9月号まで)
“自助努力”の意味と意義(10月号から12月号まで)
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(2011年1月号から3月号まで掲載)
頑張ればできるときに!

年金意識はもっと高まって欲しいと期待しています。

“消えた年金”問題以降、日本人の年金意識はかなり変わってきたように思います。年金の話題が新聞やテレビで取り上げられる頻度は高くなり、普通の人々の会話の中でも年金を頭から否定するようなトーンは低くなってきています。
ところで実情はどうなのでしょうか? 2009年度の国民年金保険料の納付率はついに60%にまで下降しました。年金に関する意識が高まった分、「将来困るのは分かっているが、払えない」という悩みも、何度か耳にしました。経済状況や雇用情勢が好転せず不安を募らせているようです。
しかし角度を変えてみましょう。国民年金の未納率は第1号被保険者のみを対象に計算するため、全体から見れば60%ではなく、約5%です。厚生年金などのサラリーマン=国民年金第2号被保険者も、その配偶者=第3号も、上記の計算には含まれていません。「払いたくても払えない」と悩む人々は、自営業、主婦(1号の人)、学生、派遣・契約・パートなど非正規雇用の労働者で厚生年金等に加入していない人です。
別の言い方をすれば「95%の人は将来何らかの年金を受け取れる」ことになります。「受け取れない5%は自営業等で未納の人」ということです。
多少無理をすれば納付できる方はしたほうが良いし、本当に無理ならば免除申請(4段階あります)を……というレベルまで、年金意識が高まって欲しいと期待しています。

「上乗せ部分」にも同じようなことが言えます。

上記は“土台部分”のお話です。“上乗せ部分”の国民年金基金の場合は、「今は余裕がない」と躊躇される方が若い方を中心に数多くいます。しかし歳を重ねると“余裕”の尺度も変化し、やがて老後を想像できるようになってそろそろ加入を考えるか、というころには掛金もそれなりに高額になっていた、と後悔される方もいるのです。
以下は基金が積極的にお勧めする方策とは言えないのですが……
現在国民年金の保険料を納めている方なら、まず司法書士国民年金基金に加入していただきます。加入時が25歳ちょうどなら、掛金月額は7920円、30歳なら9320円。この額を満60歳になるまで掛け続けると、65歳から月額2万円の年金が「終身」受給できます。
このプランでは、60歳まで掛け続けられるかと不安になる方も多いことでしょう。万一、途中で掛金が払えなくなったら支払いの一時的な停止を申し出ることができます。もちろんその期間分は受給できません。また、国民年金の保険料が免除されると基金も脱退することになります。それでも、加入期間中の掛金は生きていて、65歳になるまで長期間運用され、少額ではあっても加入期間相当分が必ず、老後に、終身受給できるのです。
収入が一定でないのは自営業の宿命。サラリーマンと違って自分の状況が変動することを踏まえて、払えるようになったらではなく、頑張れば払えるときに、と考えれば、加入者側にとって自己防衛のタイムカプセルのような秘策も生まれるのではないかと思います。
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(2011年4月号から6月号まで掲載)
万一の場合の備えにも?
2011年3月11日の東北地方を中心とした巨大地震と大津波、またそれに続く避難等で犠牲となられた方々に、衷心よりお悔やみ申し上げ、被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。  司法書士国民年金基金

年金は“備え”になるのでしょうか。

東日本大震災は多くの人々の命を奪い、街や田畑を奪い、故郷を離れて長期にわたるであろう避難生活を耐えなければならない人々を多数生み出しました。とても心が痛みます。
このようなときに不謹慎かもしれませんが、敢えて考え、記してみたいと思います。働き盛りや若い人の多くが仕事や職場を失いました。周辺地域の農産物・水産物の被害も次第に広がり、多くの人々が収入の途を失っています。復興は徐々に本格化するでしょうが、先行きの不安は、被災しなかった地で平穏な日常を送れる人々の想像を超えるものであろうと思います。
こんな中でも「年金」は一つの救いでしょう。人によって金額の違いがあるし、このようなときでは手続き等に困難な面もあるでしょうが、受給されている高齢者の皆さんはとにかく今、一定の年金収入があることになります。それはつらい状況の下で、少しでも支えに、慰めになるであろうかと、思いを巡らします。皆さん、どうぞ頑張ってください。

以下は実際の話です。

F氏は関東北部寄りに在住、軽度の住宅被害程度ですみました。しかし当面予定されていた仕事がなくなり、自由業の子息の仕事もキャンセルが相次ぎ収入は激減。現地で被災していなくともじわりと効いてくるボディブローに歯噛みしつつも、年金のありがたさを実感しています。
F氏は1950年生まれの61歳。40歳を目前にサラリーマンを辞めた後は奥さんと二人でクリエイティブな自営業を始めました。当初は収入が無く、やむを得ず国民年金「免除」申請をしました。しかし仕事の関係で年金制度を調べるうち、このままではまずいと気付きました。収入も安定してきたので免除分を追納、やがて地域型の国民年金基金にも加入しました。
昨年60歳を迎え年金の裁定請求をしました。60歳から受給する厚生年金(報酬比例部分。今後徐々に受給開始が延伸されます)は49万円、65歳から受給する基礎年金は満額に少し足りない76万円でしたが、F氏の収入はこの数年激減していたため、基礎年金の全部繰上げ受給を選びました。繰り上げは月0.5%、5年では30%減額されるので、53万円になりました。
年間102万円はなかなか厳しい金額ですが、毎年納めていた国民年金と基金、生命保険料合わせて50万円強の支出がなくなったため、この数年間の「明日はどうしよう、来月は大丈夫だろうか……」という強い不安から少しは解放されたと言います。4年後には基金の受給が始まります。掛金が払えず基金の「引落停止」という仕組みを一時利用したため減額されますが、受給額は40万円強になります。その後まもなく奥さん(基金にも夫と同時に加入していました)の保険料支出がなくなり、およそ10年後には奥さんも年額120万円を受給できるようになります。
「あのとき年金のことを詳しく調べていなかったら……」と恐怖を覚えたそうです。せめてもの義援金を送れたのも、年金受給者になってちょっぴり魂の余裕ができたからだと語っています。
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(2011年7月号から9月号まで掲載
先延ばししないことをお勧めします。
2011年3月11日の東北地方を中心とした巨大地震と大津波、またそれに続く避難等で犠牲となられた方々に、衷心よりお悔やみ申し上げ、被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。  司法書士国民年金基金

放射能災害による出生低下を心配します。

1990年までの右肩上がりの成長と豊かさを経験してきた人々は、その後20年の空白の後の変化を、十分に捉えきっていなかったような気がします。そこに降りかかった大震災と原発事故という未曾有の災害……日本の状況はさらに難しい状況に直面してしまいました。
現在、国と地方の債務残高が900兆円近くに上るという現実を背景に、「社会保障と税の一体改革」の議論が進められていますが、状況は多くの人々が想像している以上に厳しいのではないかと思います。少子高齢社会がさらに深刻になることが懸念されるからです。
今年6月に厚労省が発表した平成22年の合計特殊出生率=1人の女性が生涯に出産する子供の数の推計値は1.39、前年比0.02ポイントの上昇でした。分析の主な内容は30代後半の団塊ジュニアの出生数増などで、自然増の傾向が感じられました。この社会で安心して子供を産み育てたい、という明るい方向性ではないように思えたのですが、これからは放射能汚染の問題が重くのしかかり、おそらく相当長い期間、被災地を中心に広い範囲で出生がさらに低下してしまうのではないかと心配してしまうのです。

自助努力は未来の自分を守るものです。

社会保障と税の改革論議に関連して、年金の支給開始年齢を将来的には68〜70歳程度に引き上げることを検討するとされています。主に被用者=サラリーマンの人々にとってはかなり不安な話題です。自営業等の方々にとっても基礎年金の支給開始(現在は65歳から)が繰り下げされると、影響は少なくはありません。しかし、奇しくも2009年の国民年金基金の改訂で「60歳から受給できる型」が増強されており、これから注目されるべき要素であると思います。
◆ 従来は、60歳〜75歳受給の確定Ⅲ型のみでしたが、Ⅳ型、Ⅴ型が新設されています。
◆ Ⅳ型は60歳〜70歳、Ⅴ型は60歳〜65歳に受給できるタイプです。
ご承知のとおりこれらは必須加入の1口目に組み合わせるもので、一定程度の組み合わせ条件がありますが、加入中の増減口もできるかなり自由度が高いものです。
ただ、国民年金基金に加入するタイミングは若いときほど有利で、一定の年齢に達するとなかなか思うような設計ができなくなってしまいます。早め早めの加入の検討を強くお勧めしてきたのはそのような理由からです。できるときに行う自助努力は、未来の自分を守るものです。
かつてこのコーナーで「少子化は短時日には解消できない、しかし経済情勢は……」と述べてきました。しかし米国発金融破綻〜世界経済の低迷の下で起きた未曾有の天災、さらに放射能災害……。個人レベルのさまざまな面でも、これまでのような先延ばしはできない事態に至っています。紙面では詳述できない事柄も、いつでもご照会、ご相談に応じますので、どんな些細な疑問でもお早めにお問い合わせくださるよう、あらためて強くお勧めします。
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(2011年10月号から12月号まで掲載)
“自助努力”の意味と意義

税と社会保障の一体改革、さらに復興財源のための増税が……

去る6月に税と社会保障の一体改革の方針が決定され、さらに復興財源が議論されていることはすでにご承知のとおりです。高齢者は増え続け少子化は止まらず、負担と給付のバランスをとるため5兆円の財源確保が予定されています。さらに東日本大震災の復興に関する費用は19兆円に及びます。これらは今後増えるかも知れません。現在、国と地方の債務は合わせて約1000兆円といわれており、税金などの負担がどのような形になるかは別として、国民全体がそれなりの覚悟で負担を分かち合わなければならない差し迫った局面を迎えています。
増税を含む負担増もやむを得ないとする世論は徐々に形成されつつあるようですが、厳密な歳出・支出の点検を求める声は強く、若い世代に過重な負担を求めることへの危惧も語られています。この数年間拡大してきた経済的格差や世代間格差が、これ以上大きくならないようきめ細かな配慮が求められるでしょう。さらに、社会保障等の現状を維持するだけで事務経費などを含め何兆円も必要とするというのも、簡単には納得されない要素となっているようで、十分な理解が得られるような削減努力が必要だと思います。

“自助努力”の意味は時代とともに変化していきます。

もうすぐ戦後70年、日本社会の成長に伴いこれまで様々な分野で公共のサービスが充実してきました。年少者や高齢者、障害を持つ人々に対する福祉などの重要性・優先性は当然なのですが、バブル期には少々過多とさえ思える行政サービスもかなり増えたように感じます。しかし今や、社会的弱者とされる人々に関して、介護保険制度や障害者の自立支援制度など、ある種の市場化状態が進行しています。それなのに一般の人々の意識の中には、そこまではどうかと思うような類いの保護を、これまでと同じように他力に求める傾向がまだ残っているように感じます。
国民年金基金制度の誕生当時は、被用者年金のような“実り豊かな老後”を実現するための自助努力の制度でした。しかし急速な少子高齢化の進展と経済状況の低迷を背景に、文字通り「自分の力で自分を助ける」ものとなってきました。今、若い世代と話をすると、一昔前には考えられなかったほど年金に関する意識が高まっていることを感じます。しかし就労状況が悪化している現在、努力しようにもどうにもならないという無力感を彼らから知らされるとき、苦い思いを味わいます。同時に、自助努力が行える状況にある幸運さを実感していない人々が数多く存在していることを、とても歯がゆく思うのです。
国民年金基金は、掛金は全額社会保険料控除、受給額は公的年金の控除が適用されるため、ダブルの節税になることをこれまでにもお伝えしてきました。負担をみんなで分かち合う話をしながらこのように述べることは一見矛盾のようですが、自助努力とは、自分だけが助かることではなく、その他の人々の負担、特に後の世代の負担を少しでも軽くするための努力であるともいえます。自助努力の意味と意義が時代の状況とともに変化していくことを感じます。自助努力を行える方は一人でも多くこの輪に加わってくださるよう念願します。
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